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家庭のエネルギー事情

 自然エネルギーの上手な利用方法について考えるためには、私たちが必要としているエネルギーがどんなものであるのかを知っておくことが大事です。私たちが、家庭で使用しているエネルギーって、どんなものなのでしょうか。資源エネルギー庁の「エネルギー白書2007」にある"世帯当りのエネルギー消費量と家庭の用途別エネルギー消費"のグラフをみてみましょう。

家庭の用途別エネルギー消費

 グラフをみると、暖房が25%、お風呂の給湯が28%、冷房が3%、厨房用が8%、あとの36%が照明、テレビ、冷蔵庫などの家電製品が占めています。厨房用というのはガスレンジやコンロのほか、調理時の給湯などに使用するエネルギーで、これも熱エネルギーでしょう。それらをあわせると、家庭で使用しているエネルギーの実に64%は熱エネルギーになりますね。

 この6割強は熱エネルギーの内容を、もう少しよく考えてみましょう。例えば、暖房でいえば、熱とはいっても冬季20〜25℃の部屋に居たら暖かいし、夏季25〜27℃の部屋にいたら、充分涼しく感じます。夏の冷房は、大体外気温よりも5℃ほど低いと快適と言われています。給湯では、30〜50℃のお湯があれば十分ですね。お風呂で大体40℃前後。50℃にもなれば熱すぎます。

家庭の用途別エネルギー消費 もちろんガスコンロのようにもっと高い温度が必要なものもありますが、グラフを見ればおわかりいただけるように、我々が普段必要としている温度の少なくとも半分はとても低レベルなエネルギーなわけです。この程度ならば、わざわざ電気で空気を圧縮させたり、膨張させたりしなくても、太陽熱を熱としてダイレクトにうまく活用すれば、まかなえるはずです。 熱を熱のまま利用するのは、考え方も仕組みもとてもシンプルです。

 ところで、10年前の資料を見ると、家庭で使用されている熱エネルギーは7割ちかくありました。この10年の間に熱エネルギーの利用が少なくなったかというと決してそういう訳ではなく、動力・照明などの電気エネルギー使用量がどんどん増えているせいで、全体としては熱エネルギーの割合が減っているように見えるのです。増え続ける電気の使用量を考えることはあるにせよ、熱エネルギーだけで6割強もあるのですから、電気一辺倒からもう少し考え直してもいいのではないかと思います。


 話を戻します。さて、その太陽熱を熱としてダイレクトに活用すべく、太陽からエネルギーがどのくらい降り注いでるものなのか、手元の理科年表で調べてみました。下表は、東京と大阪の日積算全天日射量で、1日に降り注ぐ直射日光と散乱光をあわせたもの、つまり水平な面に降り注いでいる日射を1平方メートルあたりで表現しています。

  1月 5月
東京 8.5 16.1
大阪 7.4 16.9

▲表1. 1月と5月の日積算全天日射量 (単位: MJ/m2・日)

 ピンとこないので、それぞれひと月あたりの灯油に換算してみます。灯油 1 [L] = 36.7 [MJ/L]なので、

  1月 5月
東京 7.18 13.60
大阪 6.25 14.28

▲表2. 灯油換算した日積算全天日射量 (単位: L/m2・月)

(計算式)
 東京: 8.5 [MJ/m2・日] × 31日 = 263.5 [MJ/m2・月]
     263.5 [MJ/m2・月] ÷ 36.7 [MJ/L] = 7.18 [L/m2・月]


 とまぁ、ひと月、1平方メートルあたりにそれくらいの灯油相当のエネルギーが降り注いでいる計算になります。ただただ降り注いでいるわけです、タダで。


 とはいえ気をつけておきたいのは、自然エネルギー利用はあくまで自然相手ですので、エアコンのようにはいきません。とくに直接的な利用の場合、たとえば冬の天気の悪い日が何日も続いたりする時など、もう一番暖房が必要じゃない?!っていう時はやっぱり苦手なわけです。そういう時にこそ電気の力を借りればいいんじゃないの、というわけですね。


 天気のいい日は洗濯物を外に干しますが、暖房だって,給湯だって、もっといろいろな場面で空を見ながら生活する、そういう方向にもっと工夫する余地がありそうだなって思いませんか。

[ LAST UPDATE Sat, 2009-08-08 15:59 ]
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